法律まめ知識

神奈川県の大船という街にある大船法律事務所の弁護士高岡輝征が紹介する「法律まめ知識」。 ひまわりは弁護士の象徴で弁護士バッチのモチーフもひまわりです。

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復帰的物権変動

甲さんが,乙さんに,車を売ったとします(民法555条-売買契約)。
車の所有権は,原則として契約時に,乙に移転します。

ところが,乙さんが甲さんを騙したため,甲さんは売ってしまったとします。
これは,詐欺(民法96条)で,甲さんは,売買契約を取消しすることができます。

取消権は,取消権行使の意思表示により,効果が生じ,その効果は,遡及的無効です(民法121条)。遡及的無効とは,はじめに遡って無効になる,すなわち,最初から実は無効であった,という意味です。

取消権行使により,甲さんが乙さんに車を売ったことは遡って無効になることになります。
すなわち,最初からなかったことになるはずなのですが,観念的には,一度乙さんに所有権が移転したものが甲に戻るようにみえると考えることもできます。
それを復帰的物権変動といい,判例法理にも出てくるのですが,論理的には遡及的無効と完全に矛盾します。

その矛盾を頭の中で消化できない(割り切ることができない)と,法律の勉強は進みません。
そういう論点がほかにもたくさんあるので,法律を難しくしていると思います。

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離婚事件 調停前置主義

離婚には,次の3つがあります。
1 協議離婚
2 調停離婚
3 裁判離婚
この3つがあります。

1の協議離婚は,お互い協議して離婚する形で,最もポピュラーな離婚の方法です。離婚届に署名して役所に提出すれば可能です。

2の調停離婚は,協議離婚の協議が整わないとき,家庭裁判所で調停を行い,合意に達すれば,離婚ができるという方法です。調停は,通常2人の調停委員が,当事者双方から別々に話を聞いて,離婚の合意を目指して話し合いをしていきます。合意に達すれば,調停調書を作成します。この調停調書は判決書や公正証書に準ずる効力を有する公文書です。

3の裁判離婚は,調停離婚ができない場合に,裁判により離婚をする方法です。調停を飛ばしていきなり裁判をすることができず,必ず裁判の前には調停を行わなければなりません。これを調停前置主義と言います。裁判離婚が認められる場合(離婚原因)については法律で定められており,その離婚原因の有無を裁判します。

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動産の即時取得制度

民法では,権利の客体となる物(ぶつ)として,不動産と動産を区別しています。
不動産とは,土地(その定着物も含む)と建物を言います。
動産とは,不動産以外の物(ぶつ)です。例えば,パソコン,本,ペン,ジュース,自転車,印鑑,紙等々不動産を除くあらゆる物です。

その動産について,民法では,即時取得制度を採用しています(民法192条)。
動産の即時取得制度とは,簡潔に説明すると,動産の取引については,譲渡人が無権利者であっても,譲受人が善意無過失で譲渡人が権利者であると信頼した場合は,譲受人は有効に権利を取得する,という制度です。

例えば,AさんがBさんからパソコンを買ったとします。ところが,Bさんは,そのパソコンをある店から盗んでいたとします。そうすると,そのパソコンはそのお店の物であり,Bさんは無権利者です。この場合,原則は,無権利者から権利を譲り受けることはできませんから,Aさんはパソコンを自分の物とすることはできません。

しかしながら,Aさんが,Bさんが権利者であると善意無過失で信頼していた場合は,即時取得が成立し,例外的に,Aさんは,パソコンを有効に取得することになります。
このような動産の即時取得制度の趣旨は,動産の取引安全を図ることにあります。

なお,不動産には即時取得制度はありません。

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山菜と蝶々

Aさん所有の山がありました。
そこには山菜がたくさん繁っています。
お花畑もあり,蝶々がたくさんいます。

さて,その山菜と蝶々は誰の所有物でしょうか?

まず,山菜は,法律的には,土地に付合(民242)しており,土地の構成部分とも言えるため,土地の所有者であるAさんの所有物になります。仮に,第三者が無断で山菜を採ったら,窃盗になってしまいます。ご注意ください。
次に,蝶々は,自由に山を飛び回っており,土地には付合しておらず,法律的には,誰の所有物でもありません。もし捕まえれば,捕まえた人が所有者になります。これを無主物先占(民239)と言います。ですから,仮に,第三者が無断で捕っても,窃盗にはなりません。

なお,住居等であれば,無断で入ると住居侵入罪となりますが,それと異なり,山に入ること自体は罪にはならないと思われます。

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請求権の請求原因

ある請求権(人が人に対して何かを要求する権利)が発生する原因については,民法が定めていて,大きく分けて3つあります。

①契約②不当利得③不法行為の3つです。

契約とは,「申込」と「承諾」の合致により成立する請求権の発生原因です。
例えば,売買契約,賃貸借契約,委任契約,雇用契約等があります。
売買契約で言うと,例えば,八百屋で,客が店主に「大根1本ください」と申込をして,店主が客に「いいですよ。1本100円ですよ。」と承諾することにより,客は店主に大根を請求する権利が発生し,店主は客に代金100円を請求する権利が発生するのです。
請求権の発生原因としては,この契約がもっともポピュラーです。

不当利得とは,法律上の原因がなく利得が発生した場合に,利得を返してくれという請求権が発生する,請求権の発生原因です。
例えば,詐欺によりお金がだまし取られたとき,取消ができますが,取消をすると,詐欺行為は遡及的無効になるので,お金は法律上の原因がなく欺罔行為者に帰属していることになり,不当利得返還請求権に基づいて,それを返還してもらえることになります。

不法行為とは,故意・過失により,人に損害を発生させた場合,その損害賠償の請求権が発生するという,請求権の発生原因です。
例えば,交通事故で人損・物損が発生した場合,それは前方不注視などの過失に基づいて損害を発生させた場合なので,不法行為に基づいて,損害賠償請求ができます。

ちなみに,請求権を権利者ではなく義務者の側からみると,弁済(支払)義務となります。

まとめですが,請求権(弁済義務)の発生原因は①契約②不当利得③不法行為です。

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権利外観理論

民法と商法などのいわゆる私法上の概念ですが,「権利外観理論(権利外観法理)」というものがあります。
「けんりがいかんりろん(けんりがいかんほうり)」と読みます。何となくかっこよさそうな理論なのだろうなあと思って頂けるといいですね。

定義(意義)は,次のとおりです。すなわち,
ある虚偽の外観が存在し,その虚偽の外観を信頼した第三者がいる場合は,虚偽の外観を作出した帰責性のある本人の犠牲のもと,虚偽の外観を信頼した第三者は保護されるという理論です。

シンプルに法律要件と法律効果で説明しますと,
法律要件は,①虚偽の外観の存在,②本人の帰責性,③第三者の信頼,となります。
法律効果は,信頼の保護,です。
法律要件に事案があてはまると,法律効果が発生します。

権利外観理論の具体的な現れとしては,民法94条があります。
民法94条は,通謀虚偽表示の無効と善意の第三者の保護の規定です。
例えば,Aさんは税金逃れの目的でBさんと通謀(口裏合わせ)し,自己所有の不動産を売ったことにしてその所有権の登記をA名義からB名義に移転していた。Bさんは,それを奇貨として(利用して),本当はAの所有物である上記不動産について,Cさんに対し,自分のものであると言って売りつけた。その際,Cさんは,登記の名義がBにあることから,Bに所有権があると善意で信頼して,上記不動産を買った,という事例があるとします。

この事例において,不動産の真の所有者はAです。AはBと通謀虚偽表示で登記名義をBにしました。これについては,民法94条1項により,無効になります。ですから,所有権は移転せず,この所有権の所有者はAのままであるのが原則になります。
しかし,登記名義はBであり,Bが所有者であるかのような「虚偽の外観」が存在します。
Cは,この虚偽の外観を善意で信頼(「第三者の信頼」)しました。法律用語で,「善意」とは「知らなかったこと」を意味します。
Aは,この虚偽の外観作出について,Bと通謀してやったのですから,責められるべき責任があります。これが「本人の帰責性」ありということです。
このような場合のことを,民法94条2項は規定しており,この場合の善意の第三者を保護することになっています。したがって,Cは保護され,Cはこの不動産の所有権を取得することになります。例外にあたるのです。

権利外観理論が認められる趣旨は,取引の安全の保護にあります。
上記事例で,Cが保護されないと,Cの取引の安全が害されるので,一定の要件のもと,Cを保護しているのです。

あえて極端に言えば,「正直者は救われる」ことになります。

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不法行為の損害賠償請求権

一般的に,不法行為とか,慰謝料請求とか,損害賠償するぞとか,ありますよね。
今日は,これらの類の法理論を説明したいと思います。

これらは法的には,通常,「不法行為の損害賠償請求権」と言います。
根拠法令は,民法709条です。
法律の条文というのは,ある効果(法律効果)と,それを発生させるための要件(法律要件)から構成されています。
民法709条の場合,効果(法律効果)は,「損害賠償請求権の発生」です。
この効果(法律効果)を発生させるための要件(法律要件)は,民法709条の場合,次のとおりとなります。すなわち,
① 故意または過失
② 権利侵害(違法性)
③ 損害の発生
④ ①と④との間の相当因果関係
以上となります。

具体例で説明します。
交通事故の場合で説明します。

Aさんは,車を運転中,わき見をしていたため,前方を横断中の自転車に乗ったBさんにぶつかって,怪我を負わせた。Bさんは,怪我の治療費が合計5万円かかった。通院もして精神的に傷ついた。自転車の修理費は修理屋によると3万円かかるため,同じ自転車の新車が2万円なので,新しいのを買ったほうがいいと薦められた。

上記事例の場合,Aさんには,「わき見運転」という①過失が認められます。過失とは,簡単に言ってしまうと,不注意,です。

この過失により,Bさんは,怪我をしたので「生命身体の安全」「所有する自転車(財産権)」が害されました(②権利侵害(違法性))。権利侵害とは,言葉どおりある権利の侵害であり,違法性とは,簡単に言うと,常識的にみて悪いということ,を言います。

そして,Bさんには,「怪我の治療費5万円」と「精神的苦痛に対する慰謝料相当額」と「自転車の被害額」という③損害が発生しました。ここで精神的苦痛に対する損害賠償のことを一般に「慰謝料」と言います。算定はなかなか難しいのですが,この場合は仮に10万円としましょう。さらに,自転車の損害については,最大限修理費3万円で,最低限新車代2万円になります。

最後に,④①と③との相当因果関係については,「①がなければ③がない」という公式がなりたつか、を考えた上で,それが常識的に相当かを判断します。上記事例の場合,わき見運転という過失がなければ,治療費5万円はかからなかったですし,精神的苦痛もなかったですし,自転車も壊れませんでした。ですから上記公式がなりたちます。加えて,その公式をみとめることが常識的に相当かを判断すると,自転車の修理費3万円というのは相当ではないですが,新車代2万円なら相当であり(経済的実損と言います),5万円+10万円+2万円=17万円の損害については相当因果関係のある損害と言えます。

以上のように,要件(法律要件)が充足されましたので,効果(法律効果)が発生します。すなわち,「17万円の損害賠償請求権が発生」するのです。

これが不法行為の損害賠償請求権の法理論です。
できるかぎりシンプルに説明したつもりです。厳密にいうと粗があるとおもいますが,ご容赦ください。

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善意と悪意

一般用語で,善意というと,よいこころ,よい考えという肯定的な意味ですし,悪意というと,悪い意図,悪い考えという否定的な意味ですよね。

しかし,法律用語の場合,善意は,ある事実を知らないことを意味し,悪意は,ある事実を知っていることを意味します。白か黒かで,肯定的否定的な意味合いはなくなります。

あと,意思は,法律用語では,意思であって,意志ではありません。
日本法は,フランス法やドイツ法等の外国法を取り入れたことから,その翻訳で,このような特別な用語が使われています。

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架空請求徹底無視

インターネット等で成人向けサイトを利用し,利用規約の明示がなく,とにかく先に登録させる業者がおり,登録してしまって,あとで多額の登録料等を請求してくる業者がいます。

こんなものについては,契約が成立するわけがありません。契約の成立するためには,契約内容,具体的には,料金と提供サービス内容等の詳細,を理解した上で,合意することが必要です。契約内容も知らずに契約成立ということはありえないです。

また,多額な料金を知ったら,契約するわけがないのですから,契約は錯誤無効(民法95条)です。詐欺(民法96条)とも言えます。
「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」にも規定があるので,ご参照ください。

このような業者からの請求は不当請求にほかなりませんから,徹底無視してください。
もし訴訟が起こされたら(そのようなことはまずありえません),不法行為に基づく損害賠償請求の反訴をして対抗します。勝訴事例があります。
また,詐欺で刑事告訴もします。実際,警察には検挙実績があります。

人の弱みにつけ込む商法ですから,弱みをみせないことが一番です。

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離婚の際の財産分与と慰謝料

夫(妻)が不倫をしている,性格の不一致があるなどの理由で,離婚を考えている方もいらっしゃるでしょう。離婚の原因にもよりますが,例えば,夫から妻が離婚を持ちかけられ,離婚するという場合,妻は夫に対し,財産分与と慰謝料の請求ができます。

財産分与は,夫婦の共同財産の形成にどれだけ貢献したかを基準に計算されます。専業主婦の場合,30%から50%の幅で,財産分与を請求できるのが一般です。また,慰謝料については,婚姻期間の長短・精神的苦痛の程度に応じて,100万円から300万円くらいの幅で請求ができるのが一般です。

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遺留分減殺請求権

遺言により自分の相続分がなくなってしまったらどうなるのでしょう?

この点,民法は,法定相続分の1/2を遺留分として,遺言でも侵すことのできない取り分を認めています。

例えば,法定相続分が1/4あるところを,遺言により,別の相続人に遺産が遺贈されて,仮に法定相続分がなくなっても,法定相続分の1/2,つまり,この場合,1/4×1/2=1/8が遺留分として請求できます。なお,遺留分を主張する場合,相続開始から1年以内に,遺留分減殺の意思表示をする必要がありますので注意してください。

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架空請求

最近,突然身に覚えのない請求や督促状が送りつけられる,架空請求が世間をさわがせています。

このような架空請求に対しては,「無視をする」という対応が第一です。決して,認めない,払わない,ことが大切です。脅し文句があった場合などは警察に届け出ましょう。

最近は,裁判所に架空債権を訴える業者もあります。この場合、被害者の元には裁判所から「訴状」が送られてきます。このように裁判所が絡んだ場合は,弁護士に相談したほうが無難です。これを無視すると,判決が下って,給料が差し押さえられるなどの実害が生じるおそれがあるからです。

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クーリングオフ

契約をしてしまったけれども,よく考えてみると契約したのは間違いだったと気づいた場合,契約を白紙撤回できる制度がクーリングオフです。

訪問販売等の場合,一定期間(例えば、契約の日から8日以内など)であれば,クーリングオフにより,契約を白紙撤回できます。どういう場合にクーリングオフができるのかどうかは,弁護士にお尋ねください。

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