法律まめ知識

神奈川県の大船という街にある大船法律事務所の弁護士高岡輝征が紹介する「法律まめ知識」。 ひまわりは弁護士の象徴で弁護士バッチのモチーフもひまわりです。

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訴えの取下げ

先日,調停の条件として別件訴訟の取下げをしました。
再訴するかもしれないので,再訴してもかまわない旨の条項を入れようとしたところ,判決が出た後でないと,再訴禁止効は生じないとのこと。
被告が応訴さえしていれば再訴禁止効が生じるかと誤解していました。
そのため,その条項は入れませんでした。
調停成立の席で,裁判官から教わりました。
やはり裁判官は法をよく知っています。
というより,私が疎すぎたかもしれません。

参照条文です。

第262条(訴えの取下げの効果)
① 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
② 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。

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既判力の客観的範囲

既判力(判決の後訴への拘束力)は,訴訟物(紛争の客体たる権利義務関係)に生じます。
これを既判力の客観的範囲と言います。

これの別の観点からの説明として,既判力は,判決主文に生じ,理由中の判断には生じないという説明がなされます。

誤解しやすいのは,例えば,債務不存在確認訴訟を起こして,請求棄却判決が出た場合,判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれていないことから,何に既判力が生じたかがわからないという学生がいることです。

要は,訴訟物に生じるのだから,この場合は,判決の理由を読むことにより,債務の存否が訴訟物であると抽出して,その債務の存否に既判力が生じると考えるのが素直です。
この場合,判決の理由を使って訴訟物を明らかにしているだけで,判決の理由中に既判力を認めたわけではないことに注意が必要です。

例えば,同じ債務不存在確認訴訟で,請求棄却判決が出た場合に,その理由が相殺の抗弁が認められた場合で考えると区別がつきます。
この場合も判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれませんが,先程述べたように訴訟物である債務の存否に既判力が生じ,これが既判力の客観的範囲となります。
相殺の抗弁が認められたことは,理由中の判断であり,既判力の客観的範囲の例外として,相殺の抗弁には既判力が生じるので,この場合は相殺の抗弁が認められたことに判決理由中の判断として既判力が生じます。

理由を使って訴訟物を抽出することは,言ってみれば当たり前になされるわけで,判決理由中の判断の既判力の問題とははっきり区別されます。

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東京簡易裁判所民事部

今日,東京簡易裁判所(東京簡裁)の民事事件の第1回口頭弁論期日に出廷しました。
ちなみに,過払金返還請求訴訟です。
依頼者が遠方のため,相手方会社の本店所在地である東京簡裁に提訴しました。
東京簡裁は私自身はじめてでした。

びっくりしたのが,同じ時間に入れられている事件の「数」。
10:00に20件くらい
10:30に15件くらい
11:00に3件くらい
とても多いと思いました。

ほとんどがクレサラ会社が原告で債務者が被告の事件の,欠席判決(被告が答弁書を出さないので,擬制自白が成立し,原告勝訴の判決が下ります)なのも驚きました。
裁判官がてきぱきと事件を処理していました。

簡易裁判所の場合,会社の社員であれば,裁判所の許可で代理人になれます。
なので,許可代理人のオンパレード。
ここに弁護士代理の原則を貫いてもらうと,弁護士的には仕事が増えていいなあと,ふと思いました。

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反対尋問の危うさ

証人尋問は,交互尋問という方法で行われます。
交互尋問とは,先に証人サイドの弁護士が主尋問を行い,主尋問がすべて終了した後,証人に敵対するサイドの弁護士が反対尋問を行うというように,尋問者が交互に変わる尋問の方法を言います。

証人は,反対尋問を想定してリハーサルが行われているため,反対尋問で弾劾(証言の信用性を揺るがすこと)するには,かなり難しいです。

たとえば,主尋問で「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」という風に根拠を聞くと,それなりの根拠を証言することになるため,証言が固まって,信用性が高まってしまうようなことがあります。
それを逆算すると,主尋問で,「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」と聞くのは,特別の事情がない限り,やめた方がいいという経験則が生じるのです。

昨日,2人の敵性証人(相手方サイドの証人)の反対尋問をしました。
こちらも,あらかじめ,色々考えて,証言の信用性を揺るがすような質問を用意しました。
それと,主尋問を聞いて,崩せそうなポイントがあったら,それも突くように考えました。
それでも,反対尋問して逆効果になる危うさを感じました。
その危うさを感じながら,なんとか頑張って,結果的には,ほぼ満足いく反対尋問ができたと思います。

検察時代は,被告人に対する質問は,常に反対尋問になるので,色々工夫しました。
弁護士になり,民事事件の反対尋問をするようになりましたが,検察時代とは違った難しさがあります。
経験を踏み,自分が工夫していくことと,他の弁護士,特に相手方弁護士の反対尋問をよく観察して,技を盗み,スキルをあげていくのが常道のように思います。
昨日の反対尋問もいい経験になりました。

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訴訟費用確定の申立て

判決の主文は,原告勝訴の場合,例えば
1 被告は,原告に対し,○○円を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
というように言い渡されます。

この場合,訴訟費用とは,印紙代や郵券代,当事者の日当等が含まれますが,具体的な金額が判決の主文では明示されず,実際のところ,「被告の負担とする」とされても,現実に被告に支払ってはもらわないのが,実務的です。

もし,勝訴したのだから,きっちり支払ってもらおうと思った場合は,訴訟費用の確定の申立てを行い,額を確定する必要があります(民訴法71条)。

この度,とある事件で,この申立てをすることになりました。
できることは分かっていても,これまで経験がありませんでした。
一度経験してみれば,論より証拠で,きっと今後役に立つはずと思います。

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訴えの交換的変更

訴えの交換的変更とは,もともとの請求(旧請求)を別途新しい請求(新請求)に交換することを言います。
ここで言う請求とは,いわゆる訴訟物を意味し,要は私法上の権利を言います。

その法的性質については,旧請求の取下げ及び新請求の新たな訴え提起,と解するのが判例・通説です。

実務的には,「訴えの変更申立書」を裁判所に提出します。
そこには,「原告は,次のとおり,訴えを交換的に変更する。」と記載し,変更する請求についての,請求の趣旨と請求原因を書きます。

先日,訴えの交換的変更をした案件がありました。
実は弁護士4年目にして初めての経験でした。
法的性質が,訴えの取下げと新訴提起だからといって,「訴えの取下書」と新訴の「訴状」を提出するわけではありませんので,ロースクール生の方,誤解しないようにしてください。

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