法律まめ知識

神奈川県の大船という街にある大船法律事務所の弁護士高岡輝征が紹介する「法律まめ知識」。 ひまわりは弁護士の象徴で弁護士バッチのモチーフもひまわりです。

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権利外観理論

民法と商法などのいわゆる私法上の概念ですが,「権利外観理論(権利外観法理)」というものがあります。
「けんりがいかんりろん(けんりがいかんほうり)」と読みます。何となくかっこよさそうな理論なのだろうなあと思って頂けるといいですね。

定義(意義)は,次のとおりです。すなわち,
ある虚偽の外観が存在し,その虚偽の外観を信頼した第三者がいる場合は,虚偽の外観を作出した帰責性のある本人の犠牲のもと,虚偽の外観を信頼した第三者は保護されるという理論です。

シンプルに法律要件と法律効果で説明しますと,
法律要件は,①虚偽の外観の存在,②本人の帰責性,③第三者の信頼,となります。
法律効果は,信頼の保護,です。
法律要件に事案があてはまると,法律効果が発生します。

権利外観理論の具体的な現れとしては,民法94条があります。
民法94条は,通謀虚偽表示の無効と善意の第三者の保護の規定です。
例えば,Aさんは税金逃れの目的でBさんと通謀(口裏合わせ)し,自己所有の不動産を売ったことにしてその所有権の登記をA名義からB名義に移転していた。Bさんは,それを奇貨として(利用して),本当はAの所有物である上記不動産について,Cさんに対し,自分のものであると言って売りつけた。その際,Cさんは,登記の名義がBにあることから,Bに所有権があると善意で信頼して,上記不動産を買った,という事例があるとします。

この事例において,不動産の真の所有者はAです。AはBと通謀虚偽表示で登記名義をBにしました。これについては,民法94条1項により,無効になります。ですから,所有権は移転せず,この所有権の所有者はAのままであるのが原則になります。
しかし,登記名義はBであり,Bが所有者であるかのような「虚偽の外観」が存在します。
Cは,この虚偽の外観を善意で信頼(「第三者の信頼」)しました。法律用語で,「善意」とは「知らなかったこと」を意味します。
Aは,この虚偽の外観作出について,Bと通謀してやったのですから,責められるべき責任があります。これが「本人の帰責性」ありということです。
このような場合のことを,民法94条2項は規定しており,この場合の善意の第三者を保護することになっています。したがって,Cは保護され,Cはこの不動産の所有権を取得することになります。例外にあたるのです。

権利外観理論が認められる趣旨は,取引の安全の保護にあります。
上記事例で,Cが保護されないと,Cの取引の安全が害されるので,一定の要件のもと,Cを保護しているのです。

あえて極端に言えば,「正直者は救われる」ことになります。

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